認知症と精神薬について

認知症となると、その程度に応じて、精神薬が処方されることがあります

私は特別養護老人ホームに勤めていますが、以前こんなことがありました

介護職員の資質向上の一環で、入居者さんの服用している薬について理解を深めようと、その効果について勉強の機会をもうけていました


特に、入居者さんの半数くらいが飲んでいる、認知症の精神薬は 、その効き目の程度、効きかた、服用のタイミングなど、さまざまで興味深いものでした

ある日、精神科のドクターが定期診察に来られました
施設のナースが同行して、入居者さんの診察をして、必要に応じ薬の調整をしていただきます

その際、現場の介護職員が、直接ドクターに、”じぶん的にはこの薬をこの時間帯にして、この薬を別の薬に変えたほうがいいと思うんですよね”!?とか意見を言い始めたそうです

後で聞いて、冷や汗が出ました

一介の介護職が、職域を無視して、医療に口出しをするということは、許されません
それもドクターに・・・。恐ろしすぎる!
ドクターにしてみれば、何様だコイツ!でしょう

温厚なドクターでしたが、あとで”いったい誰だ、あの職員は!?”と、ナースに怒っていたと聞き、謝罪をしました。

おそらく、その職員は薬の勉強に熱心に取り組んでいたのでしょう
そして、入居者さんの認知症が薬を調整することで、安定すればいいと考えたと思うのです。その思いは間違いではないと思います

しかし、介護職として取り組むべきは、コミュニケーションを中心としたケアによる、心の安定だと思います。医療に軽率に立ち入らないことは、介護職の持つべきプライドです

たとえば、食欲がなくて、このままでは体力が衰えてしまうと、心配されるようなケース。薬でいくら調整してもダメだったのに、声かけや食事提供を工夫することで食欲が戻ることがあります。それができるのが介護職の強みだと思うのです

よかったらシェアしてね!
目次