精神薬は職員が楽するためのものではない

特養では、認知症の方は多いです。
病院のようにベッドに縛って、行動を制限できませんので、事故の心配は常にあります。

認知症の入居者さんに対して、施設で生活をおくる上で、問題となる行動を減らそうとして、安易に精神薬を増やそうとすることがあります。

介護職が、ナースに進言することもあります。
日々入居者さんに接しているのは介護職です。大変なことはわかります。
でも、利用者本位の視点が欠けています。


誰のためのサービスか?

事に、仕(つか)える、と書いて「仕事」です。
私たちのサービス提供の主体はご利用者です。
ご利用者に合わせて、環境整備をして、業務を組み立ててゆくものではないでしょうか。

時々、その主語がご利用者から、現場職員にすり替わっていることがあります。
忙しいから?効率的な業務のため?
介護の専門職としてのプライドはどこに行ったのだろう?

たとえば、体は元気な認知症の方っていると思うんです。
夜になかなか寝ないだけで、睡眠薬を増やしずぎると、
フラフラした状態でトイレに行くことになり、転倒のリスクは増えます。
骨折により、トイレで排泄できていたものが、オムツになってしまうこともあります。

大声をあげる方もいます。
それぞれに理由があってのことです。
安易に問題行動と決めつけて、精神安定剤を盛る・・・
その結果、大声はなくなります。
しかし、今までご自分で食事が取れていたのに、
常に眠そうで、食事に介助が必要となる場合があります。

ご本人が望まれていないことをして、介護の負担も増す結果

短絡的な負のスパイラル・・・

精神薬って難しいと思います。
うまく処方されれば、穏やかに過ごせたり、気持ち良く熟睡できる反面、
度を過ぎれば、その方の本来の生活をスポイルしてしまう可能性もある。

ただ言えるのは、介護職が精神薬の内容をうんぬん言うべきではないということ。

自分の職域の可能性を信じてもらいたい
そのフィールドで能力を発揮してもらいたい


医療でできなくて、介護でできること、ってありますから。

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